スペースが限られた旧図書館では、図書の増加に対して部屋の奥に高い書架を並べ対応したことで圧迫感のある空間ができ、生徒たちの足が遠のくエリアもありました。5万冊を超える蔵書を生かすためにも、一室に整備した新図書館が必要だったのです。そんな時に出会ったのが、独特の家具と空間づくりが魅力的な「平湯モデル」の図書館でした。その特長を一言でいうなら「本一冊一冊が生徒に近い」ということ。「書架」は木の温もりがあり、視線を遮らない高さのため、読みたい本が見つけやすいだけでなく館内が明るく開放的な空間になります。そんな平湯モデルの家具の導入を図りながら、段階的な改修による理想の図書館づくりを目指すことにしました。入り口から入ったカウンター前のスペースに展示コーナーを設置して、生徒を図書館に招き入れるのも平湯モデルの特長の一つです。 展示のテーマ設定から書籍選びなどコーディネートを担当するのは、図書館の運営に携わる「図書委員会」のメンバーです。図書の貸出・返却などの当番から、展示を魅力的に見せるポップづくり、図書館便りなど広報物の制作、著名人を招いた講演会の企画・運営まで、図書に関する様々な活動に取り組んでいます。現在、展示台には50冊ほどの書籍が表紙を向けてディスプレイされていますが、ほとんど貸し出し状態となり生徒たちの注目ぶりがうかがえます。さらに、鮮度の高い本を集めた「楽しみ読みのエリア」を新たに設けました。壁面には湾曲の絵本架を設置して国内外の絵本を配架。中高生の図書館に絵本コーナーを設けるのは珍しいことだと思いますが、心を耕し養うという意味において「絵本」もまた、大切な出会いの1冊となるはずです。温もりある平湯モデルの図書館は、多彩な書籍を通して生徒たちに心の栄養を補給してくれる貴重な空間といえるでしょう。[上]中・高校生が利用する図書館には珍しい「絵本コーナー」には洋書絵本もあり、生徒の情操教育に役立てている。[下左]学園理事長であり、ベストセラー作家でもあった渡辺和子氏の著作コーナー。[下右]卒業生が受験体験を記したノート。大学ごとにまとめられ、受験を迎えた生徒たちへの貴重なアドバイスとなっている。15SCENE96ノートルダム清心 中・高等学校SPACE QUEST 02NOTRE DAME SEISHIN JUNIOR AND SENIOR HIGH SCHOOL温もりある平湯モデルの図書館で心の栄養をたっぷりと。
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