SCENE111
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11SPACE QUEST 02多喜 茂 氏Taki ShigeruTAKATSUKI ARTS THEATRE株式会社 日建設計大阪オフィス設計部門設計グループプロジェクトデザイナー太陽ファルマテックホール/ホール客席:ATS-1351DR特注品 205席(車いすスペース含む)〈Photo:Akira Ito・aifoto〉当施設の設計に向け、当社は3つの基本方針を提示しました。一つは市民ホールのあり方として必要最小限の無駄のないコンパクトな計画であること。それは建設・維持コストの削減につながるとともに、わかりやすい動線と使い勝手に配慮した、市民との距離が近く親しみやすいホールを意味します。これは市民ホールのあり方を模索しながらたどり着いた、ホール設計の原則といえます。加えて当施設の設計では、芸術文化を鑑賞するホール空間の「快適性」と、「個性」が際立つ“記憶に残るデザイン”の両立を目指しました。「快適性」についてはさまざまなホール設計を手がけるたびに、最も大切なホールイスの背板の角度から寸法、クッションの硬さまで何通りも試しながら納得できるホールイスを追求してきました。その結果、施主さまから高い評価を得ていますが、今後も「あの施設と同じイス」という妥協をすることなく、ワンランク上を求め続けていくつもりです。さらに、当施設の「個性」となるのが、木を主役にしたデザインです。大阪府内産のスギ材を用いて内外装に「木ルーバー」を張り巡らせ、エントランスのベンチなどの家具も同じスギ材で製作してもらいました。併せて地元の森林組合の協力のもと、山林の持続可能性にも配慮し、適切な伐採量を見極めながら、天然資源を無駄なく使い切るため、部材の寸法や木材の使用大阪府内産スギ材を余さず使った、木が主役の市民ホール

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