12[上]地下1階 中スタジオ1/イス:ティーポ、テーブル:アコルサ [下左]地下1階 アーティストラウンジ/イス:特注品、テーブル:特注品、カウンター:特注品、壁面ホワイトボード[下右]テーブルの天板は、外装モックアップのスギ材を再利用している。テーブル:特注品箇所についても検討を重ねました。これにより単に間伐材の地産地消にとどまることなく、切り出したスギの部位に応じた活用を図り、適材適所でスギ材を余すことなく使い切ることを目指したのが今回の設計の大きな特徴といえます。例えば、不燃処理が必要な内装用には節があると使用できないため、節がある部位は外装用や家具に用い、外装に用いる部材は特殊な防腐処理により、耐久性を高めました。そして、薬剤の注入など加工には適さない「芯材」を用いたのが、大ホールの壁に貼り付けた12センチ角・27,000個のキューブであり、印象的な個性とともに豊かな音響効果を発揮しています。音響設計にあたってはコンピューターで厚さ、高さ、配置の密度を変えながらシミュレーションを繰り返し、最高の音響を実現するようキューブ1個1個に割り当てた配置図に基づき設置しています。これにより記憶に残るデザインと心地よい音響空間を生み出すことができました。今回、市民ホールに求められる基本条件を満たしながら、切り出したスギ材を余すことなく使い切る試みに一定の成果が得られたことは、公共建築における木材利用のあり方を考えるきっかけにもなりました。当施設を包む木の温もりが、市民の皆さまの芸術文化活動を支え続けることを願っています。高槻城公園芸術文化劇場所在地:大阪府施主:高槻市設計:株式会社 日建設計
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