黒坂 光 氏Kurosaka Akira[左]エントランスホール/地域住民や見学者の来訪もあるエントランスは明るく解放的な雰囲気。 [中]・[右]寮室/寮室は防音性能のある扉で外部の音を低減。プライバシーを確保しつつ、共用スペースで仲間と過ごす時間を増やすようコンパクトな設計にしている。イス:PWS4、デスク、ベッド京都産業大学 学長本学は1965年の開学以来、京都・洛北、神山の地で60年の歴史を刻んできました。以来、現在に至るまで社会を担う約16万人の卒業生を輩出しており、開学時に2学部だった編成も10学部へと大幅に拡大。今では15,000人の学生が自然豊かな「神山キャンパス」に集結する、日本最大規模となる文理融合の「一拠点総合大学」へと成長してきました。その過程で、学寮は本学の教育の発展に非常に大きな役割を果たしてきました。開学2年後に開寮した最も伝統ある男子寮「追分寮」は、建学の精神である「将来の社会を担って立つ人材の育成」を実践する人間形成の場として位置付けられ、本学の理念に基づく「教育寮」の礎となりました。その「追分寮」と、その後に開設された女子寮「葵寮」で培われた教育寮の伝統を継承し、生まれたのが「本山寮」です。都心回帰が進み、キャンパスを分散化する大学が増える中、本学がワンキャンパスを貫くのは、15,000人の学生が学部や専門の枠を越えて共に学び、交流し、高め合える場とするためです。この教育方針は「多様性の時代」を迎えた現代を先取りしたものと自負しており、「本山寮」はまさに本学キャンパスの縮図といえるものです。全国各地から集った学生たちが、寝食を共にしながら、互いに刺激し、語り合う中で一人の人間として成長することができます。また、その成長を促す教育的なプログラムや交流イベントを用意しているのが教育寮の特長です。入寮した1年間は生活リズムと学修習慣を身に付けるため、学内の食堂や厚生施設など一部の例外を除いてアルバイトは原則禁止としています。2年次生で残寮を希望する学生は、模範となるリーダー学生として学内選考を実施し、1年次生を生活、学修のあらゆる場面で支援します。「本山寮」は、従来の「教育寮」の規律を踏襲しつつ、建物の空間づくりでは現代の学生寮のニーズに応え、さらに教育寮としての機能を高めるものとなっています。02開学から受け継がれてきた「教育寮」という理念
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